Vol.328 「情プラ法」で各事業者が削除数など公表 不十分点を検証し早期改善を

わたしたちの悲願でもあった「情報流通プラットフォーム対処法(以下、情プラ法という)」が本格的施行されたのは昨年9月、今年4月の新年度を迎え、総務省から指定されたプラットフォーム事業者9社が2025年9月から2026年の3月までの削除数や削除内容といった法律に基づく取りまとめを終え、自身のホームページ等で公表するという事となった。

これを“透明性レポート”と呼び、9社すべてが法律に明記された公表事項に基づき、取りまとめたという。しかし、わたしたちにはきわめて理解することが難しく、“透明性レポート”のページにすらたどりつけないプラットフォーム事業者が存在するなど、未だ道半ばの感は拭えない現状である。

「情プラ法」という法律に基づき定められた事項を報告するというプラットフォーマーの責務にもかかわらず、法定の公表事項が記載されていないケースや、Xに至ってはレポートは数ページしかなく、多くが欠落したままの状況といったところだ。マスコミが取り上げた報道内容によれば、Xの削除率は0.1%となっている。

恐らくは、日本の法令に対するプラットフォーマー側の認識不足や、翻訳に対する理解不足など、「情プラ法」に基づき法令で定められている義務自体を軽視するプラットフォーム側が日本を軽々しく扱う態度が見え隠れする現状であることを理解しておく必要があるようである。

法的な約束事を遵守しないプラットフォーマーに対しては、「情プラ法」に基づき罰金を科せば良いといったところではあるが、日本の場合、「情プラ法」での罰金は最大1億円であり、欧州委員会のデジタルサービス法(DSA)では「売り上げの6%」を罰金としていて、それからみると相当の低位であることが理解できる。X(旧Twitter)の場合、2025年12月に1億2000万ユーロ(約220億円)の罰金が科せられている。

「情プラ法」の建付けは、あくまで「削除要請への速やかな回答のため」というバックボーンの存在があるため、“不当な利益を貯め込んだプラットフォーム事業者からその利益を吐き出させる”という法律の解釈ではない。

これは日本の法体系上の理由であり、高額な課徴金を課す仕組みは「競争法」に限られており独占禁止法などで規定されている。ただし、不十分とはいえ、1億円の罰金という法律としての強制力に加えて、株主への説明責任などが今後求められていくことから、一定のプレッシャーになっていくことへの期待は大きい。

「情プラ法」の削除要請の方法については、各プラットフォーム事業者が「情プラ法」に基づき削除依頼を受けたのか、それ以外の対応として削除要請を受けたのかが不明確なまま放置されている問題については、総務省として精査が必要であり、例えば「YouTubeなどの三点リーダーにある通常の『通報(報告)』」ボタンからの削除を求める投稿は、「情プラ法」での削除要請として事業者側が理解しているのかなど明確にしていくことが求められる」との国会答弁でもある。

ユーザーの削除要請について、情プラ法に基づく窓口と一般的な通報窓口との区別がつきにくいという問題や、削除要請しても“一切の返答なし”という事態に対しても削除に係る審査状況や結果が通知されないという事例が課題としてあることも総務省として承知していているとの態度である。

「情プラ法」は、ユーザー個人による削除申出が原則であり、第三者が代行することは非弁行為に抵触するおそれがあるとして禁止されている。しかし、行政機関が人権相談やモニタリング活動などで得た人権侵害情報を収集して削除要請をおこなうことは、自ら利益を得ようとする行為ではないため、非弁行為にあたらないのではないかという考え方が示されており、法務省の人権擁護に基づく削除要請は、非弁行為とは見なされていない。これをモデルに行政機関による代行も同様に整理できるのではないかというのがわが方の主張である。

差別や人権侵害の被害者が求める“適切な代理権”を持った第三者が必要なことは疑う余地がないであろう。差別に泣き寝入りしないためにも早期に実現しなければならない課題である。