さまざまな解放同盟組織が存在しているが、地方に行けば「老朽化した公営住宅
コラム | 2026年5月27日
コラム | 2026年5月27日
さまざまな解放同盟組織が存在しているが、地方に行けば「老朽化した公営住宅を何とかしたい」という声や、「空き家が増え困っている。若い人たちがどんどんいなくなる」といった悲痛な声を聞く。
同和対策事業が1969年から実施され、早期に建設された公営・改良住宅は40年以上、古いものになれば、50年という半世紀もの年月が経過している。そこに住まうひとびとも高齢化しているが、住宅の老朽、外壁の損傷、廊下や手すりの劣化は、住んでいるひとの安全面から見ても深刻な事態だといえる。
なぜ、改築や建て直し、住替えと言った対応が進まないのか。この間の地域のまちづくりにとって、永遠の課題のようにわたしたちに突きつけてくる問題である。この課題を地方公共団体の財政難という一言で片付け、単純な建替え、リフォームを求めるのではなく、公営住宅の一棟まるごと建てかえるという発想ではなく、個数を集約化することによって、余剰地をつくりだし、それをまちづくりに活用していくなどの“知恵”を出し合い、当該の自治体との協議によって、進めていくべきだと主張していた。
自分たちのまちは、自分たちで創りあげていく、その作風をまちづくりの肝として“背骨”として捉え、行政にお任せという姿勢ではなく、一緒になってともに創りあげていこうという協議を進めていくまちづくり協議会的な発想を呼びかけ、多くの自治体で、まちづくりのチャレンジがおこなわれてきたところである。
しかし、正直老朽化した住宅はそのまま、古びて朽ち果てそうな住宅は放置されたまま、時間が止まったままの地域も多数存在している。2002年の同和対策事業の法律が解消したことを持って、まちづくりが時間切れ停止状態にある同和地区は無数に存在している。
「地方公共団体の財源では建替は無理」「建てかえたところで、居住者は高齢者ばかりで、当該行政の負担は増えるばかり」といった“ぼやき”が聞こえてくる。
よくよく考えて見れば、1965年に「同対審」答申が出され、その4年後から同和対策特別措置の法律が全国各地で実施されていく。この際、当該行政や被差別部落の代表、さらには当該の自治会などでの確認作業が実施され、県内における被差別部落地域が特定され、同和対策事業の指定地区となり、全国4千カ所以上において、同和対策事業が実施されることとなる。
国が指定する特定地区の考え方は、「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域(以下「対象地域」という)」に対して、公営住宅の建設や公衆浴場、隣保館や教育集会所の設置等の予算が計上されることとなっていくこととなる。つまりは、被差別部落が存在する地方公共団体の財政規模に応じて部落の個数が決定しているわけではない。
財政的に厳しい町村において、それなりの規模の被差別部落が存在するケースは少なくない。1969年から実施され2002年まで続く、特別措置法が存在した時代は、それなりの予算が国に計上され、地元の町村負担は軽減されていた。しかし、法律が解消され、一般施策での運用という時代が到来したことにより、公営・改良住宅への補助金や修繕の費用、ましてや建替等については、地方公共団体の財政力では“無い袖は振れない”という状態に陥っている。
そこに知恵を出して、まちづくりの青写真を描こうと声をかけても深刻な財政状況により、知恵を出したところで、まちづくりは遅々として進まないという現状の市町村がそれなりの数存在しているというのが実態である。
わたしたちは、国交省との協議において、まちづくり協議会(仮称)の設置にともなう活動助成の費用を獲得したり、地域コミュニティの活性化のための多世代が住み続けることができるまちづくりのため“見なし特攻賃”(公営住宅の空き家などを活用し、本来の入居基準・収入制限を超えている中堅所得者層でも入居できるように入居条件を緩和した制度・住宅のこと)制度や親子近居による公営住宅への優先入居、地元大学とコラボして大学生による自治見守りのための公営住宅の空き家利用や福祉法人などとタイアップして、目的外使用による福祉活動、さらには、地元NPO法人による子ども食堂の居場所事業としての公営住宅の空き家使用、また、居住支援法人の設立など、人権と福祉のまちづくりのためにさまざまな事業を創造し、国交省とのタイアップによって、実現を果たしてきた。
しかし、肝心要の当該地方公共団体の予算が困窮していた場合、すべてのまちづくり事業は“絵に書いた餅”となる。公営・改良住宅建替えによる緊急的な予算措置をどのように国として現実化させるのか。近々の課題である。