「恐れるに足らず」姿勢で問題に挑む若者たちに希望が

水平時評 府連書記長 赤井隆史

国会前で取り組まれている安保反対のデモについて、「反対デモに参加してると就職できない」といったツイートや投稿が繰り返し行われているらしい。

この点で、誹謗中傷の代表格が、自民党の武藤貴也衆院議員(36)だ。彼は、安保関連法案に反対する学生団体「SEALDs(シールズ)」について、自分中心で利己的な考えと非難する内容をツイッターに投稿したからだ。
武藤氏は、SEALDsについて「国会前でマイクを持ち演説をしているが、彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延(まんえん)したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ」とツイートしたことがきっかけで、批判を浴びている。

また、福岡県行橋市の小坪慎也市議のブログにおいて、「#SEALDsの皆さんへ就職できなくて#ふるえる」という投稿が、ネット上で拡散しているらしい。こうした批判に対して、SEALDsの中心メンバーは、次のようなメッセージを寄せている。

「就職の面接で聞かれてもいないのにデモの話をすれば、それは落とされるかも知れませんが、あまり気にする必要はないでしょう。『人事担当者が見ているかも知れない』と心配する人がいるかも知れませんが、仮に就職活動に差し障りが出たとしても、今回の安保法制の方が大きな問題。それだけ僕らは真剣ということです。僕の場合、もし就職活動で『デモに参加したから』という理由で落とされたら、ラッキーです。『そんな基準で選んでいる会社なら入らなくてよかった』と考えます。いま日本社会の根幹である立憲主義や民主主義が揺らいでいる中で、一市民としてやるべきことはやるべきだと思うのです」。とさして気にもしていないという口ぶりだ。

さらには、就活に悪影響を及ぼすリスクを感じながらも、自らをさらけ出す覚悟を決めたのはFさん(女性)は、6月27日の渋谷の集会で、こう訴えた。

「私や私の仲間がこうしてここにいることが、どれだけリスクを伴う行為であるかは想像に難くないでしょう。けれど私は、こうすることで自分の背負い込むリスクよりも、現政権に身を委ねた結果、訪れるであろう未来の方がよっぽど恐ろしいように見えるのです」とスピーチしている。

大学3回生のSさん(女性)は、「ネット上に顔写真や名前を上げられています。私は(就活への悪影響は)全然気にしていませんが、気にしてしまっている子がいるのがすごくつらいです。就職のことを持ち出すのは卑劣です。まさに『感じ悪いよね』ですが、負けずにやるしかないと思っています」。

まさに「恐れるに足らず」である。就職活動への悪影響など“どこ吹く風”とまでは言わないが、リスクなどお構いなしといった勇気ある行動に感服する。

現在進行形で相談されている結婚差別事件がある。女性が被差別部落の出身で、相手の男性の実家が、「部落の人間とは結婚させない」と頑なに主張続けるそうである。告白すべきか、どうかを真剣に悩み地元の支部に相談が寄せられたそうである。その後の経過を聞いてみると、女性が男性に告白したみたいで、被差別部落出身を告げられた男性は、「頑張って身内を説得してみせる」と言ったそうである。前途多難かも知れないが、なんとか両親や身内を説得して結婚してほしいものである。

こうした世代が、安保反対のデモに参加する学生や結婚差別を乗り越えようとする男女に、就職活動へのリスク、結婚差別という現実が襲いかかっていることに対して、それこそ“恐れるに足らず”で挑もうとしている。
世の中まだまだ捨てたもんじゃない!