戦争の現実を伝え戦争法案を廃案に

水平時評 府連書記長 赤井隆史

国民の半数以上が反対しているにもかかわらず、安倍政権は安全保障関連法案の衆議院強行採決を行った。明らかに集団的自衛権の行使に踏み込むものであり、憲法違反そのものである。あらためて安倍政権の暴走を阻止し、戦争法案に抗議するものであり、今国会での廃案を求めて闘い抜くことを訴える。(府連の抗議声明はこちら)

昨年の8月9日、長崎に原爆が投下され69年を迎えた日。平和式典で、被爆者代表の城台(じょうだい)美弥子さん(75)が、以下のような内容の訴えをされた。1年たった現在において、ますます重みを持つ言葉になっていることから、ここに紹介したい。

「今、進められている集団的自衛権の行使容認は、日本国憲法を踏みにじる暴挙です。日本が戦争できるようになり、武力で守ろうと言うのですか。武器製造、武器輸出は戦争への道です。いったん戦争が始まると、戦争は戦争を呼びます。歴史が証明しているではないですか。日本の未来を担う若者や子どもたちを脅かさないでください。被爆者の苦しみを忘れ、なかったことにしないでください。」

 

「福島には、原発事故の放射能汚染でいまだ故郷に戻れず、仮設住宅暮らしや、よそへ避難を余儀なくされている方々がおられます。小児甲状腺がんの宣告を受けておびえ苦しんでいる親子もいます。このような状況の中で、原発再稼働等を行っていいのでしょうか。使用済み核燃料の処分法もまだ未知数です。早急に廃炉を含め検討すべきです。

被爆者はサバイバーとして、残された時間を命がけで、語り継ごうとしています。小学一年生も保育園生も私たちの言葉をじっと聴いてくれます。この子どもたちを戦場に送ったり、戦禍に巻き込ませてはならないという、思いいっぱいで語っています。」

 

「長崎市民の皆さん、いいえ、世界中の皆さん、再び愚かな行為を繰り返さないために、被爆者の心に寄り添い、被爆の実相を語り継いでください。日本の真の平和を求めて共に歩みましょう。私も被爆者の一人として、力の続くかぎり被爆体験を伝え残していく決意を皆様にお伝えし、私の平和への誓いといたします。」

この記事を紹介した東京新聞は、つぎのような解説を掲載している。

「日本国憲法を踏みにじる暴挙」のくだりは、事前に書いた原稿では「武力で国民の平和を作ると言っていませんか」となっていた。差し替えは、読み上げる直前に決意した。待機席で登壇を待っている時、来賓席に座る安倍晋三首相ら政治家たちの姿が目に入ったのがきっかけだった。「憲法をないがしろにする政治家たちを見て、怒りがこみあげました」。式典後、やむにやまれぬ思いをぶつけた理由を打ち明けた。

こうした被爆者の思いを踏みにじるように、1年後の7月15日安保関連法案が衆議院を通過した。

作家の雨宮処凛(かりん)さんは、戦争の現実味を若い人たちにどう伝えるかという話題になった時、彼女によれば、「服が汚れて良いの?」と若い女性に問うと、「イヤだ〜!」と口を揃えて若い女性が嫌がるそうである。つまり、安保への是非や集団的自衛権の行使の賛成・反対といった政治的な問いかけではなく、“自由に服が着られない”“おしゃれが出来ない”-それが“戦争”だ。これが、若い女性に最も響いたそうだ。これは戦争の本質を突いた話だと思う。

戦争は個人を国家に完全に服従させる。だから、個人の自由は否定され、「おしゃれは無理」「服装や髪形も決められる」。これこそが、“戦争のできる国”なのだ。やっぱり、「おかしいことは、おかしい!」と発言し続けなければならない。