持続可能なフードバンク活動のためには

水平時評 府連書記長 赤井隆史

フードバンクとは、「食料銀行」を意味する社会福祉活動で、食品関連企業や量販店、農家、個人などから賞味期限内でまだ食べられるのに商品として流通できなくなった食品の寄贈を無償で受け、食べ物に困っている人や施設などに無償で配布する活動のことを言う。この大阪においても堺市に拠点を置き、2013年の4月から“ふーどばんくOSAKA”として活動をスタートさせた。

農林水産省の調査によると、2009年の食品廃棄物の総発生量は2.272万トンと推定されており、うち本来食べられる にもかかわらず捨てられる、いわゆる「食品ロス」が約500から900万トン含まれると推計されている。これは日本のコメの年間生産量と同程度と言われており、内訳は

、食品製造業・卸売業・小売業・外食産業といった 食品産業から300から500万トン、家庭から200から400万トンと言われている。

フードバンク活動が社会や企業から信頼される事業として発展していくために、日本において展開されている約40団体によるフードバンク活動を緩やかなネットワークで結び、基本的なルールを定め、各団体が地域に根ざして活躍できるネットワークを構築していこうと、日本におけるフードバンクのパイオニアでもあるセカンドハーベストジャパンが音頭をとり、「フードバンクガイドライン2014」の作成と“アライアンス”の提案が呼びかけられている。

「アライアンス」とは、「kotobank」によると「複数の企業が互いに経済的なメリットを享受するために、緩やかな協力体制を構築することであり、1つの企業に統合する必要があるM&Aに比べて、時間・資金をそれほど要することなく進めることができ、思惑が外れた場合の解消も容易にできる点で異なる。ただし、緩やかな結びつきであるために、アライアンスを構築した後のコントロールは各企業に委ねられ、シナジー(相乗効果)が当初想定したほど発揮されない場合もある」ということ。

「フードバンクガイドライン2014」とは、文字通り最低限の基本的なルールを定めることであり、業務のコンプライアンスの監査であったり、基本的価値観、透明性、施設の配送コストの一部を維持費として施設側に請求できるようにすることなど、活動を持続可能にするため収益活動をフードバンクとして行っていくこと、などが規定される予定である。つまり、まったくのボランティア精神で運営するフードバンク活動から、持続可能な取り組みとするためには、一定の収益活動を行うべきだとの提案である。

わたしは、この一連の流れについて、フードバンク活動における分水嶺の時が来たと認識している。たしかにボランティア精神や熱意が重要なことは言うまでもない。しかし、運営には資金が必要であり、それがその年によって、多くのカンパや寄付が寄せられる年とそうでない年があれば、運営が安定しないという欠点を持つことも事実である。持続可能な運営のためには、収益活動は避けて通れない課題でもある。

アライアンスの提案の第1は、「基準の統一」にあり、第2に、「政策提言」の機能を強めようと呼びかけられている。第3には、「フードライフラインの構築」を訴えおり、スムーズな流通機能の確保をめざすとしている。第4は、「フードセーフティーネットの構築」であり、文字通り緊急時の食料調達を可能にする仕組みのことである。

単なるボランティア精神にもとづくフードバンク活動から少しだけ成長するための登竜門が、アライアンスという考え方だ。より良い社会の発展のために、わたしたちには何が出来るのか、その一翼を担っていくためには、それ相当の責任と役割が求められている。その“覚悟”が、いまのNPOや市民活動に求められている時代に突入したのだろう。