2023府連旗びらき 新たな出発のつどい

2023年の府連旗びらき「新たな出発の集い」が1月6日、HRCビルでひらかれ、会場・リモート合わせて約140人が参加。『人新世の資本論』の著者、齋藤幸平さん(写真)の講演を受け、第4期の部落解放運動の創造に向けて力強い一歩を踏み出す決意をかためた。

主催者を代表して赤井隆史委員長があいさつし、「水平社101年目からの運動を構築するために、当事者としてしっかりと差別に抗っていきたい。怖い、暗い、閉鎖的、貧しいといった部落のイメージを変え、信頼される運動を創造していく」と強調。

昨年末、ユーチューブが「部落探訪」の動画を削除したことに関しては「様々なとりくみの効果だといえるが、あくまで一企業の判断。(差別行為を)国が法で縛ることが求められており、人権の法制度の確立を求めていきたい」とのべ、4月におこなわれる統一自治体選挙で組織内候補、推薦候補の勝利に向けて全力でとりくんでいこうと呼びかけた。

髙橋定書記長が情勢報告と行動提起。「格差が拡大するなかで排外主義、人権侵害が強化されている。こうした厳しい状況だからこそ差別と貧困と闘ってきた部落解放同盟の出番だ」と強調し、▽府内の自治体で人権条例を実現し法制定につなげる、▽地域の現場から「地域共生社会」の実現に挑戦する、▽狭山事件再審闘争の正念場であり各地域でとりくみを強化する、▽4月の統一自治体選挙で組織内候補をはじめ考え方の一致する候補の勝利にとりくむ、などを呼びかけた。

第2部では東京大学大学院准教授の斎藤幸平さんが「コモンの再生と市民が主役の地域共生社会づくりにむけて〜部落解放運動に期待すること」をテーマに記念講演をおこなった。

斎藤さんは「水平社創立100年でビデオメッセージを依頼されて戸惑った。格差や貧困と切り離せない差別の問題を十分に勉強してこなかったからだ。そこで昨年大阪の部落を訪ね、様々な学びを得て「コモン型社会」のヒントをもらった」とのべ、「私有でも国有でもない第三の道としてのコモンを増やすことが必要。行政任せではなく、住民参加型の「ミュニシパリズム」(自治体主義)も世界で広がっている」とし、コモンとミュニシパリズムの担い手として解放運動に期待しているなどとのべた。