Vol.207 企業、ボランティア、スタッフ…様々な協力で実現した扇町公園での「食支援」 

いよいよオリンピック・パラリンピックが強行開催されるようである。

まさか泉佐野市がオリパラ関連で全国的に有名になるとは、千代松市長も青天の霹靂といったところだろう。濃厚接触者かどうかという判定を「空港でやれる能力はない」ということをあらためて露呈してしまった水際対策・・・ジャジャ漏れも良いことに今度は、選手団をのぞく大会関係者は入国後14日間以内でも条件付きでレストランの個室などを利用させるという・・・これで変異株も流入せず、クラスターも起きないと思い込んでいるのだろうか。

「神国日本が負けるわけがない」「神風が吹く」と信じた「あの時」と何も変わらないのではないだろうか。「“神風”のみにすがった菅(すが)首相」というのではダジャレにもならない政治不信の深刻な現れでもある。

コロナ禍の中、生活苦のひとに食支援をと、ふーどばんくOSAKAが呼びかけとなって、今月26日の土曜日、大阪市北区の扇町公園で緊急支援の食品1000人分の無料配布が実施された。テレビや新聞の告知の効果もあり、開会10時前には80人のひとたちが列をつくって食品の配布を待つという盛況ぶりだ。

昼までの2時間で約720人の方たちに食を支援することが出来た。関係者の方々や当日のボランティアに駆けつけたひとたちに感謝をしたい。「自分の会社の食品を今回提供したので、どんなふうに配布するのかを勉強したくて参加しました」というボランティアさんもいた。「ホームページを見てなんとか役に立ちたいと思い駆けつけた」というボランティアさんも。なんともありがたい話である。

果たして700人を超えるひとたちすべてが、生活に困窮しているひとたちかどうかはわからないが、しかし、確かにやって来るひとたちの中には女性が多く、子どもさん連れで列に並ぶ様子は、深刻なコロナ禍の状況を反映している姿でもある。

主婦(37)は「夫の収入が減り、生活が苦しい。食べ盛りの子ども3人いて、衣服や娯楽の出費を削って食費に回している。本当に助かります」(読売新聞27日朝刊)。また、中学生から1歳まで4人の子どもがいるという40代の女性は、「少しでも食費を浮かせたい」と列に並んだ。昨年はコロナ禍で飲食業の夫の収入が半減した時期もあり、苦しいやりくりが続いているという。食品でいっぱいになった紙袋をベビーカーにかけ、「想像以上にたくさんもらえてありがたい」と喜んだ。(朝日新聞27日朝刊)などが記事として紹介された。

今回こうしたとりくみに発展したきっかけは、ふーどばんくOSAKAの事務所で仕事をしているスタッフの声からである。コロナ禍の前は、年間でも10数件から20件ほどだった個人からの問い合わせが、昨年夏頃から急激に増加し、月20〜30件に増え、その内容も切実であり、「2日間何も食べていない」「子どもに十分に食べさせられない」といった深刻な相談内容であり、これは緊急に支援する方法を考えなければと現場のスタッフが、立ち上がったことが契機である。

また、昨年あたりから食品を提供する企業側もコロナ禍の中なんとか役立つことはできないのかという感心の高まりもあって、ふーどばんくに寄せられる支援の輪の広がりがこうしたとりくみを後押ししたともいえるだろう。

さらには、「誰ひとり取り残さない」というSDGs(エスディージーズ)の基本理念の広がりという点も企業や行政などにとってもこの取り組みへの協力を後押しする背景になったのだと思う。

つまりは、コロナ禍という富む者と貧しき者という格差が拡大している生活状況という「天の時」と、ふーどばんくOSAKAという活動から9年を迎え、多くの企業の支援と200を超える子ども食堂などへ食糧支援を実施してきたという「地の利」。さらには、多くの団体や個人のボランティアさんとの良好な人間関係や連携を構築してきたという「人の和」という「天の時、地の利、人の和」という絶妙のタイミングを迎えることができたのだろうと推察する。

しかし、コロナ禍の現状は一向に終息の気配すら感じさせない中、オリパラに突入することとなる。しっかりとした科学的根拠(エビデンス)も見いだせないまま、ワクチンだけが伝家の宝刀として政府は突っ走っている。確かに発症予防や重症化予防の効果は期待できそうだが、感染予防においては、?である。爆発的な感染者増とならないことだけを神頼みする政治で良いはずがない。