Vol.139 「壊す政治」ではなく「創る政治」 地方の立憲民主党に期待

9月の第一日曜日の2日は松原市会議員選挙の投票日だ。松井いくひと君が3期目に挑戦している。

大阪ではじめて地方議会に立憲民主党を名乗って立候補しており、立憲民主党が大阪でどれだけの影響力を持っているのかを占う重要な選挙である。上位での当選をめざし奮闘しているところである。

立憲初の市議会議員選挙ということもあり、枝野代表も松原に入り、熱いエールを送るという力の入れようだ。

その立憲民主党が、翁長さんの死去にともなう知事選挙を意識してのことだとは思うが、8月29日に沖縄県連合を結成した。その結党宣言は、「自己決定権と人権を魂(まぶい)とする豊かな沖縄を―立憲民主党沖縄県連合結成宣言」とのタイトルだ。

沖縄では、魂のことを「まぶい」や「まぶやー」と呼ぶそうであり、「まぶやーを落とした」などと表現するらしく、身体から心が遊離していく(魂が抜ける)さまを表現している。つまり、「人権を魂(まぶい)とする豊かな沖縄」ということは、まさに人権は魂であり、沖縄人として心と身体でしっかりと大事にすべきものだと強調し、そのことによって、豊かな沖縄を創造しようという宣言であり、きわめて崇高な理念の結成宣言である。

この結成宣言は、最後にこう結ばれている。

「わたしたちはこの沖縄で、狭い既成の政治ではなく、沖縄の伝統ある文化に根ざした幅広く新鮮な独自の政治運動を県民のみなさんとともに進めていく。全世代に影響を及ぼす基地問題、格差是正、子供の貧困対策などなど、あらゆる生活の問題をともに解決していこう。わたしたち立憲民主党はここ「美(ちゅら)島」沖縄で新たな船出をすることを宣言する。」

立憲民主党という公党でありながら沖縄独自の地域政党的な独自色を打ち出し、「イデオロギーより沖縄としてのアイデンティティ」だと強調するあたりは、「立憲民主党は貴方自身です」と昨年の総選挙で訴えた基本理念はここに見事に継承発展されている。

一足先に結成された立憲民主党大阪府連合にもこの沖縄での基本理念をここ大阪においても展開してもらいたいと思うひとりのファンの声として聞いてもらいたい。

そのひとつは、もっともっと大阪独自色を前面に打ち出してもらいたいと思っている。中央政界と違い、大阪には維新政治という巨大勢力が存在しており、府知事はもとより、大阪市長も含め維新政治が幅をきかしている。中央政界とは少し風景が違っており、当然、政治手法も異なるという態度で大阪の政治に臨んでほしいと思う。

そのためには、維新政治が進めている新自由主義的な「壊す政治」ではなく、ボトムアップの民主主義、地域発の「創る政治」の理念を具体的な政策として発信させていくことである。まさに、「狭い既成の政治ではなく、沖縄の伝統ある文化に根ざした幅広く新鮮な独自の政治運動」の大阪版である。この大阪の地で、具体的に格差と貧困の解消策をつくりあげ、「この指とまれ」というネットワークを構築してほしいと思っている。

ふたつめには、市民活動の現場ともっともっとつながる工夫を求めたい。正直に言うと、ふーどばんくOSAKAが開催した「子どもの貧困を考えるシンポジウム」には、自民党をはじめ、公明、維新の各級議員が参加してくれたが、肝心要の民主系の先生方の参加は、わが小林道広前大阪市会議員のみであったことは、残念至極だと言わざるを得ない。

現場でさまざまに惹起する社会課題や地域課題にとりくんでいる広範な市民団体・NPOは数多く存在している。また、その多くは政治から離れたところで活動しており、それがひとつのトレンドにもなっている。この距離を埋めることこそが立憲民主党の本旨だと思う。沖縄では、反基地による大きな統一戦線としてネットワークすることが可能だが、大阪では、多種多様な市民・NPOによる多種多様な活動を緩やかではあるが、包摂するための知恵と工夫が必要である。立憲プラス1(WAN)を基本理念とする立憲大阪のマニフェストに期待したいと思っている。

「壊す政治」にさようなら。「自己責任を押しつける政治」にピリオドを打つ。そのためには、政党が陥りやすい縦型の中央集権型政党から脱皮し、横型の地域政党的な立憲民主党OSAKAへ、大いなる変身に期待したい。また変身のためにはわたしも微力ながら役割を果たしたいと思っている。