Vol.136 ふーどばんくOSAKAのこれから

認定NPO法人「ふーどばんくOSAKA」が、設立5年を迎えたことから7月5日「子どもの貧困を考えるシンポジウム」が開催された。基調講演を神戸大大学院の石川雅紀教授にお願いをし、また、ふーどばんくOSAKAへ定期的に協力いただいている協力企業や子ども食堂の運営者らによるパネルディスカッションも同時に開催され、今後のフードバンク活動への期待などについて語られた。

そこで、わたしは、閉会あいさつをかねて集約という機会を与えられ、次のようなまとめを行った。「フードバンク活動のこれから」というテーマで4点にわたってわたしなりの意見を提案した。

まずその第1点としては、「“食”で笑顔を提供する」という活動だ。
親が子どもをあやめたり、逆に子どもが親を傷つけたり、無差別にひとに危害を加える事件が起こったり、考えられないような残虐な事件が相次いでいる日本社会。閉塞感に包まれ希薄な人間関係によって、他人への関心は薄れ、自分さえ良ければいいとする利己主義が蔓延する社会が形成されようとしている。誰もが笑顔で、ひとに優しく接することができる社会への転換という課題において、じつは“食べる”“お腹を満たす”ということがどれほど大事な行為であるのか。対立や競争を煽る社会に対するアンチテーゼとしても食でお腹を満たし笑顔でひとに接することで、対話と協調を促す大事な使命が、“食”にあるとする考え方だ。

第2点目は、「“食”でつながる」ネットワークの構築である。
食品を定期的にフードバンクに届けてもらっている食品提供企業者のひとりは、「わたしどもが提供した食品で、子どもたちが楽しそうにバーベキューをしている報告を受け、日頃つながることのないひとたちと食を通じてつながったことに改めて感謝したい」とシンポジウムで語ってくれた。文字通り食を通じたつながりづくりである。
食品を提供してくれる企業や個人、フードバンク活動に参加する配り手のボランティアさん、そして、その食品を受け取る施設や個人というトライアングルが形成されている。今後の課題としては、賞味期限の短い商品を廃棄することなく、流通させる仕組みづくりが急務であると思っている。食品の「つくり手」、それを口に入れる「食べ手」、それをつなぐ「つなぎ手」という三方良しの関係強化が急がれる。

第3の点は、「“食”で発見する」社会課題への挑戦だ。
4人世帯家族を標準とした時代は終わり、現在もっとも多い世帯構成は、ひとり暮らしになったと言われている。ひとり暮らし世帯が30%を超え一方で少子高齢化を加速させていることを考えれば、当然、孤立による寂しさ、亡くなってから何日も発見されないという孤独死の現実など、深刻な課題が横たわってきている。
生活困窮者の支援団体のひとが「信頼関係を築くのに食品が役立っている」とシンポジウムで語ってくれたように、食を提供することで、人間関係がスムーズに運び信頼されるようになってくれれば、人間関係が希薄な現代社会で食を通じた情のある新たな関係を提案できることになれば幸いである。

最後の第4点は、「“食”で人権」だ。
ふーどばんくOSAKAが平野区で、「おすそわけ食マーケット」と称して、ふーどばんくパントリーを3回実施した。「パントリー」とは、食品を蓄えておく小部屋のことを指しており、食品を無料で提供する活動で、個人・家族に対してパントリーに来てもらって好きな食品を無料で持ち帰ってもらおうという活動である。一定の条件を満たせば、無料で食品を提供するという“ふーどばんくパントリー”だが、誰を対象者にするかという認定基準があいまいであり、「自立の妨げにならないか」「行き過ぎた保護政策に陥らないのか」「惰民(だみん)を生みだすことにならないのか」との心配の声も寄せられている。しかし、「すべての人が、経済レベルに関係なく、明日の食事について心配すること無く、いつでも必要なときに栄養のある食べ物を得ることができる社会」をわたしたちはめざしている。そのためにも「すべての人に、食べ物を」を実現するという手段のひとつが、フードバンク活動だ。

大量に廃棄されていた食品を社会にもう一度呼び戻し、貧困や社会的に排除されたひとたちに届けるという目的から、「誰ひとり取り残さない」「すべての人々」に人権が保障されるような社会をつくりあげる、そんなふーどばんくOSAKAでありたいと思う今日この頃である。

世間から呼ばれたいものだ。
“ふーどばんくOSAKA 半端ないって(笑)”