対立から協調へ 11・22 反維新の闘いに結集を

水平時評 府連書記長 赤井隆史

“11月22日”は、大阪の運命を決するといっても過言ではない大阪府知事選挙と大阪市長選挙の投票日だ。
残すところ一ヶ月あまり、この7年もの間、府内に“対立”という二文字だけを持ち込んだ大阪維新の政治を葬り去ることが出来る最後の決戦が目の前に迫ってきている。

「過去に戻すか、前に進めるか」-大阪維新のワンフレーズである。
「『大阪府と大阪市、仕事も施設も重複・・・緩慢な役所体質!』-批判するだけの政治では、大阪を前に進めることはできない。」と大阪維新は主張している。
「維新と対決するとの立場は理解するが・・・」「なぜ自民党候補を応援するのか?」「戦争法案に反対してきたのに・・・なぜ、今回は?」-部落解放同盟に寄せられている意見や疑問だ。

この疑問に対して答えるとすれば、わたしは、今回の知事選挙・大阪市長選挙をどの立場で闘うのか、と言うことに尽きると思っている。それは、これからの“新しい価値を生み出す都市のありよう”が問われている選挙という意味からだ。
府市二重行政による重複部分や無駄ともいえる施策やそれにともなう予算配分など、いままでがパーフェクトな府市連携ではないことは誰の目からも明らかである。つまり、これからは、過去に戻るわけなど不可能な地方自治体の財政状況であり、このままの仕組みを放置しておいて都市行政に未来がないことも十分理解できるはずである。

では、次なるステージへ如何に踏み出すかである。
大阪維新は、「過去に戻すか、前に進めるか」をキャッチフレーズに“改革者は維新側にあり”と言いたいようである。また、得意の敵側を旧態依然たる勢力と決めつけ、大阪の改革をより進め、大阪を成長させるためには都構想しかないとうそぶいている。
つまりは、維新側が改革の側に立っていて、反維新勢力は、旧態依然たる保守側に位置しているという陣取りだ。しかし、現実はそんなことが争点となる選挙戦ではない。不毛な対立だけを煽っているような地方自治の現状ではない。大阪が瀕死の状態に陥っているということを認識した上で、次の一歩をどう踏み出すかを選挙争点にしなければならない。

それを大阪維新は、「リニアや観光、企業誘致など成長戦略は維新も自民も同じ方向。大事なのは実現できるかどうです」。と訴えている。成長戦略には違いがないと主張している。だが、実現する突破力は、大阪維新にあり、と言いたいようである。しかし、まったくそこが違う。大阪の成長のため、どれほどの犠牲をはらってきたのかと言いたいのである。平和や人権、教育という政策分野の予算がことごとく大幅に削減、縮小され、混乱に次ぐ混乱を政治に持ち込んだ責任はどこにあるのか。行財政改革の名の下に“官から民へ”という観点は、否定するものではないが、本来の行政責任まで放棄され、競争と敵対を煽り、人権や福祉、教育や環境が大きく後退しているという現実にストップをかける政治の登場が求められているのである。

そのためには、「対立から協調」であり、「大阪都ではなく、自治体間を“つなぐ”都市間連携」であり、だれもが安心して暮らせる社会を“きずく”ことだ。成長戦略実現のためにコスト優先で、人権や福祉といった政策が後退してしまうという払うべき代償が高すぎてはいけない。

「自分と意見の異なるやつは消え失せろ」といわんばかりの強行な政治と縁を切るのが知事選挙、大阪市長選挙だ。少数者の意見に耳を傾けない政治は、もはや民主政治ではない。“民(たみ)”が主役の政治を取り戻すことが出来るかどうかが今回の選挙争点である。
反維新の闘いをさらに前進させよう!