無関心は自民党を利する 安倍政権の2年に審判を

水平時評 府連書記長 赤井隆史

消費税を8%から10%に増税するという決断を先延ばしするということは、安倍政権肝いりの「アベノミクス」が看板倒れであったことを意味しないのか?
つまりは、来年2015年の秋頃に予定通りに再増税(8%→10%)を実施できるだけの経済的な環境をつくりあげることができなかったという責任は、一体どこにあるのか。当然、安倍内閣ではないのか。そのことをはっきりさせるのが今回の総選挙の真意である。

だからこそ、経済政策の失政であり、約束が守れなかったわけであり、ここは、内閣を総辞職して政権を投げ出しますというのなら理解できるが、解散して総選挙を行うというのは意味不明であり、しかも「アベノミクスは発展途上であり、増税は延期するので安倍政権に一票を」というのでは、話しにならないことは言うまでもない。
結局は、「今回の選挙、何だかよく分からないが、とりあえず消費税を据え置くというのは当然だよなぁ〜」という感じで、うっかり乗せられて自民党に投票してしまう人を増やそうというのが魂胆か?。

当然として、増税を喜ぶ者は誰もいないわけであり、内閣府も「景気は下向き傾向にある」と言っている今の経済状態では増税はないよな?と誰もが理解しているところだろう。
その心理だけを利用して今回仕掛けられたのが、解散総選挙だというのか。しかも争点がはっきりしない。また忙しい12月の師走選挙である。人びとの関心が高まるはずがない。それで安倍自民党が勝ったら、あるいは負けの度合いが少なかったとして、「アベノミクスを今後も引き続き継続しろとの国民の審判を得た」「安倍政治は信任された」と嘯くのであろうか。

しかし、現実には解散は行われており、否応なく選挙に突入したわけであり、安倍首相の思惑がどうであれ、選挙民としては受けて立って、安倍政治の2年間をしっかりと振り返って自分なりの審判を下す必要があることは言うまでもない。
今回の総選挙、やはり、アベノミクスなる経済政策、原発の再稼働と海外への輸出問題、そして集団的自衛権の解禁という問題が、わたしたちの前に立ちはだかる総選挙3大争点ということになる。

当然のことながら自民党は、引き続きアベノミクスを強力に推進する。その最大のポイントは、大胆な金融緩和策として、日銀による大量の国債購入と円安、さらには、株高を誘導させて、大企業の利益を最大限優先させることにあるが、それに対して民主党は「厚く、豊かな中間層を復活させる」と訴えている。

また自民党は、集団的自衛権が行使できるようにするための憲法解釈の転換を閣議決定という形ですでに強行し、来年にはそのための安保法制整備を急ごうとしているのに対して、民主党は閣議決定の撤回を求めている。
さらに自民党は原発の再稼働を進める立場だが、民主党は「2030年代に原発をゼロに。無責任な再稼働には反対」という立場である。

候補者調整が難航し、自民党へ対峙するほどの立候補者を擁立できない民主党の現状ではあるが、次の選挙では再び政権交代をめざすという意気込みを今回の選挙で期待したいものだ。何とか今回の選挙において、100という3桁に議席が回復すれば、2代政党による政権交代がいつでも当たり前に可能となる政治風土が培われていくことになるやもしれない。

無関心は、安倍自民党政権を利するだけであり、それこそ戦争への道を突き進める政治へ、加担してしまうことを意味する。争点なき、大義なき選挙ではあるが、この国の将来を決する3大争点(経済政策、原発の再稼働と海外への輸出問題、集団的自衛権の解禁)をはっきりさせるという意気込みで、投票しようではないか。

棄権は、それこそ危険である。