Vol.81 CPAO(シーパオ)徳丸さんの講演から考える

水平時評 府連書記長 赤井隆史

3月19日の土曜日-「ふーどばんくアクション申【MONKEY】もったいないをありがとうに2016」が、大阪市内の旭区で開催され、子どもの貧困をテーマに大阪こどもの貧困アクショングループ(CPAO/シーパオ)代表の徳丸ゆき子さんの講演を聞いた。

「子どもを貧困から救済しよう」との主旨でネットワークを立ち上げ、各地を飛び回っているそうである。講演の中で印象を持ったのが、「身なり等で支援者側がキャッチすることが可能な子はまだいいです。非行で外に出る方がマシです」「でも引きこもりや不登校の『助けて』と自ら言えない子どもたちを支援へひっぱりこむのはとても難しい」と語られた実践は、奥が深い言葉であり、居場所と出番を応援するとは簡単に言うが、「子どものSOS」をキャッチすることの困難さは、容易でないことが徳丸さんの講演から理解できる。

また、大阪子どもの貧困アクショングループの活動も特徴的で、行政では考えつかない「ほぐす」と銘打って支援を開始するところからスタートするというユニークな発想だ。「まずはごはん!」という入り口から、少しずつ関係づくりをおこない、困っている親・子どもたちがいろいろ語れるようになる。その語りから得た情報を元に必要な支援につなげるという。糸を紡ぐ、たどり、絡まった糸をほぐしながら信頼を得る。気の遠くなりそうなチャレンジだ。「子ども食堂」もそのきっかけづくりであり、そこからがスタートだと熱っぽく語られていた。現在のふーどばんくOSAKAの活動では、食のムダを省き流通させることを第一義としており、「まずはごはん!」をなんとか支援することは出来ているが、そこから一歩も二歩も子どもや母子家庭の母親の安心や信頼というところまで迫り切れていないのが現状だ。

「周りに迷惑をかけない人なんてちょっと怖いわ」「みんな何かしら手伝ってもらって、迷惑をかけて必死に生きている」と徳丸さんはパワフルに語る。人に助けてとは、なかなか言えない。それこそ死んでしまうまで言わない母親だっているという。「この活動、志すなら覚悟を決めてかかってこい」と言われているような気になった。生半可な気持ちやちょっとしたボランティア精神で、“居場所と出番”を求めるなどとカッコつけた市民活動など、それこそ「おととい来やがれ!」という迫力だ。

「つまり、信頼は、言葉と行動だ」と思わず納得。ごく身近に関わる仲間が説得する力は行政の言葉よりも何倍もあるんだと再確認。「働くとか、家の中をかたづけるとか、それこそ子育てなど、目の前の崩壊しつつある家にとっては無意味だ」と徳丸さんは続ける。「とにかくお腹いっぱい食事して」「お風呂入って」「洗濯した服を着て」からがスタートだと話された。

現在の大阪各地の被差別部落も同様に、「差別」「人権侵害」も腹立たしいし、怒りを持つが、それより、「明日のごはんをどうするか」「生活費をどう捻出するか」ということに精一杯で、日常、部落差別のことを気に「できる」人たちは、それこそきわめて少数だと認識すべきではないだろうか。やっぱり、貧困と社会的排除に覆い尽くされようとしている被差別部落に、ますば、“言葉と行動”で、地域住民との信頼を得るための活動に奔走しなければならないようである。「まずはごはん!」-なんなら「子ども食堂」から「おとな食堂」へ、いや“地域食堂”のオープンに一汗かいてみませんか。地域における社会的起業。こんな事をスタートさせることからはじめませんか。