石川さんの無念を晴らす 狭山市民集会

狭山事件の再審を求める市民集会が5月23日、東京・日比谷野外音楽堂でひらかれた。石川一雄さんが亡くなって初めての集会では「私は無実です」と手書きされた白いシャツを着て微笑む石川さんの写真が壇上に大きく飾られ、参加者は生きているうちに無罪を勝ち取れなかった石川さんの無念に思いを馳せ、なんとしても第4次再審で勝利することを決意した。

石川さんの遺志を継ぎ妻の早智子さんが第4次再審請求を申し立て、東京高裁では第3次再審と同じ家令和典裁判長が担当することとなった。再審開始を実現させるために寺尾判決が下された10月31日までに新たな100万人署名行動にとりくむことや各地で共闘、住民の会などと連帯し狭山再学習の集会や超党派議連による再審法改正を実現させるとりくみを進めていくことを確認した。

早智子さんはあいさつで「(一雄さんが亡くなった日の)3月11日にお見舞いに行った時に5・23の集会に二人で行こうねと言ったのが最後の言葉になってしまった」とのべ、無実を訴え続けてきた石川さんの闘いについて「よく頑張ったねと言いたい」と語った。また、生前、石川さんが書きためた短歌を紹介し、「第3次再審では裁判長が10人も代わったが、一度の鑑定人尋問も証人尋問もおこなわれることなく、検察が証拠開示を拒み続け、一雄の訴えを踏みにじった。私は今78歳。なんとしても生き抜いて無罪判決を勝ち取りたい。一雄に今もかかっている見えない手錠を外したい」と支援を呼びかけた。

市民の会から落合恵子さん、鎌田慧さんがアピール。狭山弁護団の竹下政行事務局長は「第4次再審では脅迫状、万年筆、殺害方法について4人の鑑定人尋問を求めている。迅速に審理を進めるよう力強く働きかけていきたい」、中山武敏主任弁護人は1972年10月に「部落差別によって教育を受けられなかったことに対する国家の冷酷さが許せない」と書かれた石川さんの手紙を紹介し、「この言葉が私の弁護士の原点。第4次再審では狭山事件は部落差別によるえん罪事件であることをなんとしても認めさせたい」と語り支援を呼びかけた。

西島藤彦中央委員長は開会あいさつで「事実調べが実現すれば必ず勝利する。10・31までに100万人署名を達成して世論を高めよう」などと呼びかけた。

基調提案を片岡明幸中央副委員長がおこない①第4次再審の署名運動を100万人を目標に呼びかけていく、②全国各地で第4次再審にむけて共闘や住民の会と連帯し狭山集会開催を呼びかける、③再審法改正にむけたとりくみを展開することなどを確認。

えん罪被害者の連帯アピールでは足利事件の菅家利和さん、東住吉事件の青木惠子さん、今市事件の勝又拓哉さんの母親、湖東記念病院事件の西山美香さん、袴田巌さんの再審無罪を活かす会の山崎俊樹さんが報告した。

特別報告として「再審法改正の現状」をテーマに鴨志田祐美弁護士が報告。国会は国権の最高機関であって国の唯一の立法機関。今こそ国会の力で一刻も早く再審法改正を実現するべきだなどとのべた。

閉会あいさつを赤井隆史中央書記長がおこない「天の上にいる石川一雄さんに力強い団結がんばろうでこたえたい」とのべ、参加者全員で団結がんばろうをおこない、集会終了後はデモ行進をおこなった。