ちょっとパロディ的に「ドラえもん」の話をしよう! 「のび太」君の学
コラム | 2024年10月11日
新たな年2020年の幕が開いた。
昨年は、選挙一色といって良いほど、統一自治体選挙、大阪府知事選挙、大阪市長選挙、参議院選挙と相次いで開催され、わが陣営にとっては芳しい成績を収めたわけではなく、厳しい選挙結果となった。
こうした厳しい選挙結果を踏まえ、荊政会を中心に議論を重ね、いよいよ本年2月に「おおさかヒューマンライツ自治体議員の会」の結成が予定されている。
政党の枠を超え、地域から人権施策と地域課題解決に向けた施策の推進に率先してとりくむ地方議員による新たなネットワークの結成だ。地域政党の結成を射程に入れながら”人権のまちづくり”を地方政治のど真ん中に位置づけさせるためのチャレンジがいよいよ開始される。
地域課題は山積
今年秋には大阪市廃止・分割の是非が問われる住民投票が実施されようとしており、統治機構そのものの役割を大きく変える選択がわれわれにも求められようとしている。ひとり親家庭の貧困の深刻化、引きこもりの長期化から親子で社会から孤立する8050問題の社会問題化、非正規労働者の増加による格差拡大等、大きな社会問題が個人の責任・自己責任として放置され、さらには、行政の怠慢も含め、地域や社会全体として解決していくべき課題が山積している社会状況である。
当事者の声を
こうした社会状況に目を向け、その改善を求め飛躍的な2020年にするためにも、わたしたちがとりくむべき課題がいつにも増して大きいことを自覚し、精力的に邁進していく年としたい。
そのための課題はふたつだ。
ひとつは、「表現の自由」を凌駕する「差別する自由はない」という観点での運動の構築だ。
法律や条例をつくるほどの差別事案の立法事実がない段階で、防止策を講じることとなると言論の自由や集会の自由などを制限することになりはしないかという後ろ向きな考え方との対決だ。インターネット上のヘイトスピーチなど、特定の民族や被差別部落を対象に差別発言が繰り返され、誹謗中傷がフェイクニュース化され、拡散している現状に対して、何らの法的措置も講じられていないという現状を憂い、「差別する自由はない」とする当時者の声を大きく高らかに掲げ、法的整備を求める運動をこの大阪の地から大きく発展させる2020年にすることである。
ネット上の名誉毀損やプライバシーの侵害などの行為は、明確に個人が特定される対象の事案においては、民事上の不法行為として責任を問うことができるが、一定の集団や特定の地域に係わるケースにおいては、不法行為として対処できない状況にあり、強制力のともなわない法務省の説示程度でとどまっているのが現状である。
憲法は国民が持つ最低限の権利を保障するものであって、それは“公共の福祉”や“公序良俗”に反しない限りにおいて認められるもので、憲法を盾にとって何でもかんでもが表現の自由だ、認めろというのは違うと思う。もちろん公共の福祉や公序良俗は、明確に規定されているものではない。だからこそ、議論の余地が生まれるのである。その曖昧さが民主主義の根幹を揺るがし、右往左往させているのだと思う。この際、差別を強制力をもって規制する削除命令や禁止を限定的であるが、発動できる法整備の必要性を声高に叫ぶべき役割をわが同盟が担うべき元年にしたいと思うのである。
地域共生社会へ
ふたつ目は、地域共生社会の実現を大阪の各部落から創りあげるための本格的な年にしたいと言うことである。
さまざまな課題をかかえたひとたちが部落に引き寄せられるように集住してきており、生活困窮、社会的弱者、引きこもりなど課題は山積だ。特効薬はないものの一支部一社会的起業というスローガンを定着させ、なんとか自分たちで創りあげる部落解放運動という方向は一致できたものの、このスローガンは正直まだまだかけ声倒れだと猛省せねばならないと思っている。
では、なぜ進展しないのか自問自答を繰り返してきたが、結局、二の足を踏んでいるのは、それに先立つ“モノ”と運動を担う“ヒト”が用意できないからではないだろうか。そこで、2020年は、資金は「活かす」、人材は大阪の部落解放運動全体で「調整」するという事に大胆にチャレンジしたい。「人材」とは、地域におけるまちづくりのソーシャルワーカーが目標とはなるが、すぐに育成できるわけでもない。しかし、センターの各部局や地域の部落解放運動には、「宝物」が眠っているはずである。
人材・資金を確保
この際、思い切った地域交流で人材の交流・トレードに発展させてみてはどうかなど、人材を育てるという発想から大胆に人材を調整するという事にチャレンジしてみる試みの年にしたい。
「資金」については、各地域におけるコミュニティ活動をさらに進展させることで、おのずと経済に結びついていくものもある。それを「コミュニティビジネス」や「ソーシャルビジネス」として発展させていくという手法をさらに探求していくことが求められている。休眠口座の活用や府連のファンドの創設に今年は待ったなしでとりくんでいくことにしたい。
水平社創立100年まで後2年となった。「差別する自由はない」とする当事者としての怒りの叫びと、しっかりと地域に根を張った粘り強い部落解放運動の創造に邁進する2020年にしようではないか!