狭山事件の寺尾判決が完全崩壊 カバン発見場所で新証拠

狭山弁護団は3月2日、石川一雄さんの「自白」によって発見されたとされ、有罪の有力な根拠とされてきた「カバン」の発見場所が、実際には石川さんの「自白」とはまったく違う場所であることを明らかにした土地家屋調査士による調査報告書などを新証拠として提出した。「万年筆」「腕時計」とあわせて寺尾判決の根拠となった「秘密の暴露」の3つの物証がすべて崩壊したことになる。

弁護団による開示請求によって証拠開示された現場一帯の航空写真をもとに、土地家屋調査士が狭山現地での測量もおこない、事件当時の地形や石川さんの「自白」調書、取調べの録音テープなどをもとに▽石川さんの自白の場所▽実際のカバンの発見場所▽警察官らが捜索した場所を特定。

実際のカバンの発見現場と石川さんが「カバンを捨てた」と自白した地点が大きく異なっていることを明らかにした。自白にもとづいてカバンが発見されたという「秘密の暴露」がなかったことを証明した。

寺尾判決は「カバン」「万年筆」「腕時計」の3つの物証が石川さんの自白をもとに発見されたとして有罪の有力な証拠としてきた。しかし「万年筆」については下山鑑定で被害者が使っていたものとインクが違い、川窪鑑定によって脅迫状の訂正に使われたものではないことも証明した。

「腕時計」についてはバンド穴の使用状況から被害者の腕の太さとは違うところの穴が使われており、被害者が使用したものではないことも証明している。寺尾判決が根拠とした3つの物証は完全に崩壊した。

石川さんは今年で78歳。なんとしても元気なうちに無罪をかちとらねばならない。5月23日には東京・日比谷野外音楽堂で狭山市民集会がひらかれる。大阪でも5月18日に石川無罪を訴える街宣行動にとりくむ。新証拠を武器に一日も早く再審無罪をかちとろう。