「解消法」見すえて研究 大阪府と基本交渉

府連と大阪府との基本交渉が8月19日、大阪市中央区の国民会館でひらかれ、次期国会で成立が期待される「部落差別解消推進法」を先取りしたとりくみや部落差別の実態把握などについての要求項目について回答を求めた。

交渉には府連から赤井隆史委員長はじめ執行部、各支部・関係団体の代表など約150人が出席。大阪府からは新井純副知事をはじめ幹部職員らが対応した。

新井副知事はあいさつで「大阪府では人権尊重の社会づくり条例にもとづきすべての人の人権が尊重されるようとりくんでいるが、今も子どもの虐待、女性への暴力、ネット上での誹謗中傷など様々な問題が生じている。同和問題をはじめあらゆる差別の解消にとりくんでこられたみなさんと有意義な議論ができるようお願いしたい」とのべた。

府連の赤井委員長は「ネット上にはどこが部落かの情報があげられ、結婚差別で身元があばかれるなど差別の現実がある。法のあるなしに関わらず救済することは行政の責任である。『部落差別解消推進法』が次期国会で議論される。府としてできることを検討してほしい」などと要請。村井康利書記長が要求項目について説明し府民文化部の岡本圭司部長らが次のとおり回答した。

▽継続審議となっている「部落差別解消推進法」は同和問題解決に寄与するもの。成立後は国の事業にできる限り協力する。
▽これまでの実態調査の手法では現代の部落差別の実態に迫ることは難しい。「部落差別解消推進法」の動向を見すえ府としてできることをみなさんの意見を踏まえながら研究する。
▽鳥取ループの事案は部落差別を助長し、これまでの努力を踏みにじる許しがたい行為。ネット上の情報は回収困難であり引き続き国に対して人権救済の法制度を要望していく。
▽同和地区では生活困窮者自立支援制度の対象者の割合が高いと考えられ、隣保館と連携したとりくみを充実していくことは重要。
▽高校授業料の実質無料化などにより経済的理由での中退は大幅に減少した。中高連携などを引き続き進めて、中退防止に努める。
▽同和地区のまちづくりを進めていくにあたり、社会資本整備交付金や、地方創生推進交付金などの活用について検討を行う。
▽子どもの生活に関する実態調査の結果をふまえ、子ども食堂など緊急性の高いと思われる事業については、早急に対応できるよう検討をおこなう。