ちょっとパロディ的に「ドラえもん」の話をしよう! 「のび太」君の学
コラム | 2024年10月11日
コラム | 2016年10月26日
大阪の各被差別部落の世帯を対象にして『暮らしのアンケート調査』が実施される。日々の暮らしのなかで「困り事はないか」「なにかしてみたい活動はあるか」「働いてみたいと思っているか」など、笑顔で暮らせるまちにするためには、どんなニーズがあって、課題がなんなのか、どんな手立てを打てば、お年寄りの居場所がつくれて、また青年層の出番がつくれるのか・・・などアンケートを通じて明らかにしていこうという調査である。
この『暮らしのアンケート調査』を実施する過程で、府内2地区で同様の調査がとりくまれた。公営・改良住宅入居者を中心に2000世帯に迫るアンケート調査が実施され、厳しい生活実態が調査結果で明らかにされたことが大阪の各部落において『暮らしのアンケート調査』をとりくむ契機となった。また、幾つかの地域においても、“プレ調査”がとりくまれ全体で千五百世帯程度の調査が集約されている。
その数字から見てとれたのは、「生活が苦しい」と答えた世帯が、全体の約50%、住宅管理や近隣トラブル、日常の困りごと(外出・買物等)があると回答した人が約70%、就労ニーズを抱えている人が、約15%という結果となって現れた。
すべての地区に当てはまるという調査結果ではないかも知れないが、大阪の各部落のほぼ共通する課題として、「生活が苦しい」「日常の困りごとが多い」「働きたいと思っている人がいる」との実態が浮き彫りなったといえる。
こうした課題をひとつの「市場」と見たとき、社会的起業をどう進めるかのヒントがそこに隠されている。とくに住宅管理や近隣トラブル、日常の困りごと(外出・買物等)があると回答した約7割の世帯の人たちのニーズと見たとき、困りごとの解決なり、相談にのることで充足感を図る活動が保障されれば、地域の活性化や地域とひとのつながりが希薄になっている昨今にあって、あたたかいつながりを結び直すきっかけになる活動が展開できるのではないかとの期待感を抱かしてくれる。
ボランティアや就労の機会を創出し、子ども、若者、女性、高齢者、障害者の出番と結びつけ、「お助け隊」や「よろず相談隊」「困りごと解決隊」など、地域独特のネーミングで創意工夫ある社会的起業が各地で産声を上げることを期待したい。ある支部では、「花咲かせ隊」や「勝手にパトロール隊」として、別の支部では、「地域みまもり券」や「子育ておうえん券」として、日常の困りごとの解決をめざした活動が先駆的にとりくまれている。
「うちの地域は世帯数が少ないからボランティアが確保できない」といった意見や「フットワークの軽い青年層がムラにいない」などの声をよく聞く。そこで、大阪の各部落の総合力を寄せることで“力あわせ”が出来ないものかという発想が、「エコー共済」設立のひとつの意義であった。ひとつの地域で達成できない課題を隣の地域と一緒になってとりくんでいく。それでも出来ないならブロックで、それでも無理ならオール大阪でという発想が、共済活動の基本である。エコー共済は、慶弔見舞金オンリーの制度ではない。本当の意味での力あわせを基本にするのであれば、人材という資源を共済活動で確保するという人材バンクの発想も共済活動に取り入れ、各ブロックによる「お助け隊」の発足もプレ調査の結果から見る困りごと解決の重要なツールといえる。
また、「生活に苦しい」と回答した世帯が、約半数いるとの数字は、生活困窮世帯が部落に急増している実態の反映でもあるが、同時に約半数は、生活が苦しいと回答していない世帯でもある。チャンスがそこに隠れているように見えるのはわたしだけかと思ってしまう。つまりは、生活が比較的苦しくないと答えた世帯の人たちが、生活の質を変えることで、「生活が苦しい」と答えた世帯の人たちを押し上げるとことが出来ないかという発想を持つべきだと言いたいのである。
なにも世帯の苦しい人にカンパしろと言っているのではない。“お互いさま”という発想で、それこそ解放同盟の前身である水平社のように、シーソーのように上下に傾いた社会を、水平線のようにしていこうとの想いが込められつけられた名称のように、水平線の下の人々を水平線に押し上げていくためにも、これからは、水平線の上の人々が水平線まで押し下がってきて水平を保つという解放運動、社会運動を創造しようという提案である。
部落の中の困難を抱えるひとと豊かなひとの「互助」をエコー共済で切りひらく、そのためにも、まずは各ブロック困りごと解決に向けた「お助け隊」を組織したいものだ。