Vol.317 大義なき党利党略の選挙 立憲・公明の決断に「あっぱれ」

なんと2026年の幕開けは、アメリカ・トランプ大統領による南米ベネズエラに対する軍事力による侵攻からスタートし、あろうことかマドゥーロ大統領夫妻を拘束し、アメリカに“拉致”するという衝撃的な出来事で幕を開けた。いくら指導者が独裁者で市民を弾圧しているという事実があるとか、選挙で選ばれたといっても不正選挙の疑いがきわめて濃い状況にあるとか、経済が破綻してせっかくの石油資源を活用できていない現状で、国民の生活は苦しく、貧しい状況が続いているとしても、ベネズエラという国家の問題である。

ベネズエラ・マドゥーロ大統領の統治にこうした問題があったことは事実であるとしても、一国の主権を武力で介入するという行為は、すべての国家は「主権平等の原則」に基づいて取り扱われなければならないと定められた「国連憲章」からも大きく逸脱する行為であり、明白な“国際法違反”である。

トランプ大統領は、さらにコロンビアやメキシコ、グリーンランドに対しても自国の利益を守るための武力行使も辞さない態度を表明している。しかもトランプは、「わたしには“国際法”は必要ない。わたし自身の道義性。わたし自身の心情。それだけがわたしを止められる」と言い放っており、暴挙とも言うべき姿勢が続いている。

「国連憲章」や「国際法」は、言うまでもなく、二度の世界大戦を経て人類がたどり着いた英知である。それをあろうことか、必要ないと一蹴し、自国の利益と自己保身にのみ舵を切るという姿勢は、全世界に力による支配をみせつけ、分断と対立を一層煽る危険な事態を生み出すこととなり、いつ大噴火が起こり、世界大戦に突入するやも知れない緊張感が増してきているという危険水域にある。

こうした国際的な事態に対して、唯一の被爆国である日本が、対話を呼びかけ、国際協調を強めるための外交努力に徹し、こうした暴挙を思いとどまらせる行動が必要不可欠である。しかし、こともあろうに緊迫した世界情勢を横目に、衆議院を解散し、総選挙するというのである。高市内閣への高支持率、野党の選挙への準備不足、衆参過半数ギリギリのための不安定な国会運営の転換など、今がチャンスと捉え、選挙に打って出るというのである。

国内に目を移せば、物価高による生活困難という事態に変化はまだない。しかも国民生活を守るための2026年度の予算編成や経済最優先という年頭の決意はどこへやら・・・解散・総選挙となれば、新年度予算の年度内での成立は事実上放棄したこととなる。どこに総選挙に踏み込む大義があるのか。国内外情勢を考えれば政治の空白は許されないにもかかわらず、首相の専権事項とは言え、あまりにも身勝手な解散である。

また、そこに輪をかけて大阪では、知事選、大阪市長選のダブル選挙も行われようとしている。維新としては、自民党との“連立”政権において、埋没すること無く、存在意義を発揮するための戦術として大阪府市のダブル首長選挙をぶつけ、“都構想”実現への本格的なスタートをきりたいというサプライズな仕掛けだろう。しかし、あまりにも見え透いた党利党略に写っており、これを民主的プロセスだと説明するには、吉村さんの勇み足のように有権者には移るだ
ろう。

超短期決戦となるであろう今回の総選挙。あまりにも抜き打ち的な高市首相の解散という時間のなさに、立憲と公明の両党の努力に“あっぱれ”を送りたい。両党で新党を結成し、公明党は、小選挙区を撤退し、比例区選挙に全力を挙げるという。ギリギリ間に合うかどうかと言う最終の判断が近々に検討されるであろうが、このまま選挙戦に突入することを考えれば、月とスッポンである。野田さんと斎藤さんの「より高いレベルで連携」との報道内容から、いくつかの公明党の選挙区に立憲民主党の候補者を擁立しないという程度でお茶を濁して決着ぐらいか、と失礼ながらそう理解していた。

それが、時間が経つにつれ、両党での新党もあり得るという流れに、よくも時間がないなかまとめようと努力した関係者の方々に敬意を表したい。両党の努力にひと味とひと工夫を付け加えさせていただくとすれば、ここは、玉木国民民主党代表を担ぎ出し、トップに据えた玉木“影の内閣”を提案してはどうだろうか。当然、国民民主党の理解を得たものであることは言うまでもないが・・・

抜き打ち解散である以上、超がつくほどの短期決戦である。しかもSNSが幅を利かす選挙戦である。エッジの効いた戦略が求められる。いつになく立憲民主党へ期待大である。