Vol.114 戸籍をめぐる「大炎上」 排除の論理を許してはならない

7月30日の日曜日、民進党大阪府連の大会が大阪市内で開催された。

来賓として招待をいただき参加したわたしは、あいさつさせてもらう機会に恵まれた。来賓あいさつとしては、好ましくないかも知れないとは思いつつ、蓮舫代表の二重国籍問題、一部ではあれ戸籍の開示に踏み切ったという判断について、異議を唱えるととともに民進党内部で、東京都議選の敗北の責任が蓮舫代表の二重国籍問題にあるかのような指摘があったという事実に対して、残念であるという主旨のあいさつを行った。都議選の総括は責任回避も甚だしいが、さらに続けて「戸籍を開示して証明せよ」という要求に至っては、開いた口がふさがらない。代表への誹謗中傷・・・海外にルーツを持つひとが公党の代表などもっての他とも言うがごとき差別体質が民進党内部からわき上がったと言うこと事態、残念至極の一語に尽きる。

こうした主旨のあいさつに対して、民進党大阪13区の総支部長(衆議院予定候補)の姜 英紀(かん ひでき)さんがフェイスブックで次のような書き込みを行った。

昨日の民進党大阪府連大会。解放同盟大阪府連の赤井隆史委員長は蓮舫代表の戸籍公表を厳しく非難しました。戸籍で人々が差別されてきた歴史と真摯に向き合わなければなりません。韓国を含めアジアのほとんどの国は戸籍制度を廃止しています。日本でも廃止すべきか、議論の余地があるかもしれません。

これだけの指摘である。至極もっともな指摘であり、戸籍制度そのもののあり方について、議論を呼びかけるものであり、その必要性も含めしっかり議論していこうという彼なりの思いをつぶやいただけの感想である。

これだけの指摘にも関わらず、大炎上である。(少しだけ紹介しよう)

「黙って帰れ」「アジアの戸籍が廃止されてる理由を上げずに、そうですよと言われても。」「単に戸籍制度を維持管理できる能力がないということだけだろう」「なんでこいつが沖縄に行き、NHKはこいつに任せたのか?北系か?」「どのような国家であれ、韓国のような後進国に倣う必要はありません。」「ゴキブリ韓国人に 甘い顔すれば付け上がるだけ」「強く出る相手には土下座をし 優しい相手には付け上がる それがゴキブリ韓国人5千年のDNAに染み込んだ習性奴隷根性(どれいこんじょう)」「民進党ってホント中国、南北朝鮮に日本をしたい党なんだな」「ここは日本。日本人の為の政治をお願いします。嫌なら帰るか帰化するのが筋。外国の有利な政治になりかねない。」などなど・・・

これは、ほんのほんの一部を紹介したまでである。
なぜこのようにまで執拗にネトウヨ達は騒ぐのだろうか。

文字通り、「他の国籍や血統を持つひとは、いつか日本を裏切るに違いない」という決めつけ、排除の論理がこうした差別的な書き込みにつながっているのだろうか。
1985年に国籍法が改正され、子どもは母の日本国籍を継承できるようになった。女性や子どもの権利が尊重された結果であり、二重国籍も急増している。いわゆる“ダブル”は複数文化を享受でき、さまざまな体験の幅を広げることにつながる多様性が活かされた社会のプラス面としてみんなで共有しなければならないことではないだろうか。

「日本人であること」の証明をことさら迫ることは、「共に生きる」ことを否定し、「ちがいを豊かさに変えていく」という多文化共生の考え方をも問題視する風潮を強めるという結果につながっていることをわたしたちは自覚しなければならない。
決してひとりの人間を排除の対象にしてはならない。不断の努力をわたしたちは怠ってはならないことをお互い自戒したいものだ。