Vol.103 教育に浸食する「ヘイト」と「愛国」 森友学園の異様

「宣誓!」「あついあつい夏がすぎて、ぼくたちわたしたちの待ちに待った、平成27年度 秋の大運動会がきました。先生と、お友達と、一緒になって、おけいこをした、おゆうぎ、音楽、体育、かけっこなど、今日一日、頑張ります」 「おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさん、おかあさんの前で、褒めていただけるよう、全力をつくします」
「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている、中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します」 「安倍首相、ガンバレ、安倍首相、ガンバレ」「安保法制国会通過よかったです」「僕たち、私たちも、今日一日、パワーを全開します」「日本ガンバレえいえいおー」【出典:塚本幼児教育学園「思い出の宝箱」】

塚本幼児教育学園の運動会で代表する園児の選手宣誓の言葉である。
「安倍首相ガンバレ」と運動会で園児に言わしめ、「安保法制国会通過よかったです」と運動会の選手宣誓での行為、どう聞いても「教育における政治活動」としか理解できない内容である。

この塚本幼稚園を運営するのが、連日マスコミを騒がしている「学校法人森友学園」である。
豊中市の国有地を評価額より大幅に安く取得した問題が、日々大きくなってきている。
問題になっているのは、不動産鑑定士の評価額が9億5600万円であった国有地が、森友学園に鑑定評価額のわずか約14%の1億3400万円で売却されたこと。鑑定評価額から8億22000万円も安く売却された理由とされているのは、小学校の建設工事中に地中から地下埋設物が見つかったこと。国土交通省はその地下埋設物の撤去費用を8億2200万円と見積もり、それを鑑定評価額から差し引いた1億3400万円を国有地の「適正な時価」とした。
さらには、安倍昭恵総理夫人が、森友学園が新設する小学校の名誉校長になっていたことなどもあり、野党を中心に、この異例の国有地売買に政治的関与がなかったのかを追及する声が強まってきている。

また、塚本幼稚園の理事長以下関係者による人種差別行為も連日大きく報道されている。同園副園長は、朝鮮半島にルーツを持つ保護者Aさんに対して、「心中韓国人と中国人は嫌いです。お母さんも日本に嫁がれたのなら日本精神を継承なされるべきです」などと書いた手紙を送りつけたこと。
また塚本幼稚園を強制的に退園させられた元園児の保護者らがホームページを開設し幼稚園の教育手法を批判するや、塚本学園のホームページ上で「インターネット上での当園に対する誹謗・中傷記事について」と題した文章を公開し、そこには「投稿者は、巧妙に潜り込んだ韓国・中国人等の元不良保護者であることがわかりました」、「日本に在住する極めて少数派の韓国・中国人等の人たちのこういった行為に対して、断固として立ち向かう所存」などの文章を掲載するなど、確信的な人種差別が繰り返し行われており、差別扇動ともとれるきわめて由々しき事態を引き起こしている。

最近の安倍政権は、式典での国旗掲揚と国歌斉唱を国立大に要請しており、文科省が公表した幼稚園の教育要領案でも、「我が国の国歌に親しむ」の文言が加わっている。保育所を管轄する厚労省も3歳以上の幼児に対し、国旗や国歌に親しむことを求める文言を盛り込んだ保育所保育指針改定案を公表している。愛国心の強要を推し進める主体がいわゆる日本会議のメンバーであり、国家権力と結託して、教育にまで侵食してきているという事実が垣間見られる。

「日本を悪者にする中国や韓国は心をあらためて。安倍首相がんばれ」と園児に選手宣誓させる塚本学園の姿勢は、もはや、国家神道の域を超えた「安倍晋三教」と言っていい危険性を感じるのはわたしだけであろうか。安倍晋三記念小学校などという誤った発想が生まれ、それに付随した形で公表されたのが、疑惑まみれの国有地払い下げ事件である。首相を支持する日本会議の影がチラつく国有地の払い下げ事件、もはやこの国は民主主義国とはいえない異常事態である。